キッチン

吉本ばななの短編集。福武書店、角川文庫、新潮文庫から出ている。これは福武文庫の装丁。福武、新潮はタコさんウインナー、角川はバナナ。

こんなに世界がぐんと広くて、闇はこんなにも暗くて、その果てしないおもしろさと淋しさに私は最近はじめてこの手でこの目で触れたのだ。今まで、片目をつぶって世の中を見てたんだわ、と私は、思う。

ものすごいことのようにも思えるし、何てことないことのようにも思えた。奇跡のようにも思えるし、あたりまえにも思えた。

人生は本当にいっぺん絶望しないと、そこで本当に捨てらんないのは自分のどこなのかをわかんないと、本当に楽しいことが何かわからないうちに大っきくなっちゃうと思うの。

胸の内が嵐なのに、淡々と夜道を歩く自分の映像がうっとうしかった。

言葉はいつでもあからさますぎて、そういうかすかな光の大切さをすべて消してしまう。

世界は別に私のためにあるわけじゃない。だから、いやなことがめぐってくる率は決して変わんない。自分では決められない。だから、他のことはきっぱりと、むちゃくちゃ明るくした方がいい。

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この本の情報

タイトル キッチン
著者 吉本ばなな
出版社 角川書店